子どもの権利条約31条ブックレットの創刊にあたって

昔から、子どもがすくすくと育つために「よく遊び、よく学べ」が大切だと言われつづけてきました。

 しかし「学び」の大切さについては、山ほど語られてきましたが、「遊び」の大切さについては、後回しにされていると思います。「学び」の方が主役で、「遊び」は「学び」という目的のための手段のように扱われています。

 「遊び」が子どもにとって不可欠の権利であることが、我が国の「児童憲章」(第9条)にも、国連の「子どもの権利条約」(第31条)も、はっきりと明記されています。特に、子どもの権利条約第31条は、遊びの権利を、子どもの休息権・余暇権および文化的生活・芸術への参加権とセットでとらえて重視しています。

 私たちは子どもの権利条約第31条に注目して「31条の会」を立ち上げ、子どもにとっての「遊び」の大切さ、それが子どもの発達にとって不可欠の権利であることの意味を明らかにしようと研究し実践してきました。そこでたどり着いた結論は、「遊びは子どもの主食である」ということです。「遊び」は、おやつでもデザートでもなく、子どもの主食でありメインデッシュであることの意味を明らかにしたものが、今回創刊するブックレットです。

子どもの権利条約を実現し、子どもの文化権を保障する実践と研究の豊かな情報を皆さんと共有し、理論的な蓄積にしていきたいと願っています。

 

  子どもの権利条約31条ブックレット監修者・増山 均

 

 

         (早稲田大学名誉教授/子どもの権利条約31条の会共同代表)

子どもの権利条約31条ブックレット

№0

「ゆっくりしたい!あそびたい!!―遊びと文化と自由な時間―」

 増山均・齋藤史夫編

神代洋一・山下雅彦・北島尚志

・大屋寿朗・中村興史著

 

内容構成は、

第1章 31条を子どもたちに。

~子どもに豊かな遊びと文化を~

増山均×大屋寿朗 対談

 

第2章 31条実現のために~様々な活動、領域のご紹介

・子どものからだと心連絡会議

・日本小児科医会

・不登校の子どもたち

・自然災害と子ども

・子ども食堂

・おもちゃ美術館

・駄菓子屋学校

・プレイパークと共同保育

・プレイワーカーズ

・少年少女センター

・アフタフバーバン

・学童保育

・児童館

・こどものまち

・こどもの劇団

・市民芸術村

・公立文化施設

・子ども劇場と舞台芸術

 

第3章 市民・NGO報告の中の31条 (資料編)。

 

A5判 64ページ 頒価500円

送料5冊未満200円、5冊以上無料(他の書籍との組み合わせでもOK)

 

№1 増山 均 著 

 「あそび・遊び」は子どもの主食です!―子どもの権利条約31条と子どもの生活の見直し

 

[目次]

はじめに 

「主食」ということば

「あそび」と「遊び」― 人間的な発達にとっての意味

① いま、日本の子どもの生活はどうなっているか

1 すすむ子どもの「ストレス」「孤立」そして「劣化」

2 しかし、子どもたちの「遊び心」は健在

3 崩れていく子どもの「ライフ・バランス」と「子育て」支援

4 子育ての原理(養育・遊育・教育)における「遊育」の弱体化

5 教育の場で薄まる子どもの文化と遊びへのまなざし

6 遊びの分野にひろがるサービス化・商業化

7 「遊び」をひろげるNPO

② 「遊び」が持つ役割への注目

1 総合的な人間形成力

2 「未来のための準備」の時間ではなく「今を夢中で生きる」時間を保障すること

3 魂の活性化(アニマシオン)が子どもを元気に育てる

4 「溜め」をつくる

5 こころを癒す

6 こころをひらく

7 共同の「しごと」を生み出す

8 発達の基軸はなにか

9 遊びを失った子どもは失業している

③ 子どもの権利条約第31条が提起しているもの

  1 子どもの基本権としての文化権

  2 余暇権、本物のゆとりとは

  3 「あそび」があって「遊び」が成立する

  4 第15条との深い関連

④ 問われている親・教師の生活と労働の見直し

おわりに 

「子ども像」でなく「子ども観」を鍛える

 

発想力・想像力を豊かに

A5判 64ページ 頒価500円

送料5冊未満200円、5冊以上無料(他の書籍との組み合わせでもOK)

№2 北島 尚志 著

 子どもの育ちとあそびの力

 ―あそびが主食になるために

 

[目次]

改めて「あそぶ」って何だろう?!

正しさが邪魔をする

あそびが主食になるために

今、大人の問題

「禁止」について21

閉ざされたあそび心

早くないとダメですか?!

あそび心のやり取り!

子どもはあそびの創造者

子どもの時間を生きる子ども達

ファンタジーと現実を行ったり来たり

ネコは何かを知っている

答えは一つじゃない

身近な「まち」がおもしろい!

商店街の宝物?!

あそびの力と育ち

なってみることで背伸びする

自分を好きになる

「響感」という、かかわりの中で

俺、役に立った?

かかわることを閉ざさない力

あそび心が世界を変える!

豊かな遊育環境づくりを目指して

A5判 64ページ 頒価500円

送料5冊未満200円、5冊以上無料(他の書籍との組み合わせでもOK)

№3 齋藤 史夫 著

 市民力で創る子育てとコミュニティ

 ―韓国・市民活動の挑戦

 

【目次】

 はじめに

① 市民力で創る子育てとコミュニティ

② 日本の学童保育と瓜二つ

   ―子どもの福祉と文化を重視した「ヘソン地域児童センター」 

③ 子ども図書館・ヘソン遊び場プロジェクト

   ―子どもの自治で生活づくり・まちづくり 

④ 財閥による就職までの子ども・若者支援―「夢育ち料理アカデミー」

⑤ 伝統的な「プマシ(助け合い)育児」の継承と発展

⑥ 共同の子育てから市民主体のまちづくりへ―ソンミサン・マウル

⑦ 市民が設立した魅力ある代案学校―ソンミサン学校

⑧ 都市の市民のまちづくり ・ 楽しい村―サンカクサン・ゼミナン・マウル 

⑨ 子どもにやさしいまちづくり―ソウル市城北区「青少年遊び場ミウムミウム」 

⑩ すべての子どもが夢に向かえるように―韓国保健福祉部ドリームスタート事業              

⑪ 村を育てる学校―地域の生態系に組み込まれたプルム学校

⑫ 日本と韓国の市民交流を―学生たちと訪問したソウル

 

 解説  韓国の実践から学ぶもの

 

A5判 64ページ 頒価500円

 

送料5冊未満200円、5冊以上無料(他の書籍との組み合わせでもOK)

№4 山下 雅彦 著

 子どもの権利としての

 生活と表現

―生活綴り方から問い直す

「子どもの権利条約」12条と31条

 

はじめに

                 

 

1 作文や日記でよみがえる私の子ども時代  

  連載にあたって

  私と生活綴方

  手元に残る作文や日記

  生活綴方の生命力

 2 生活綴方の遺産に学ぶー高知の3著作からー

  生活綴方〝再発見〟のきっかけ

  砂丘忠義の生活綴方教育の原型

  「幡多作文の会」

  草創期の教師たちの熱気

  「ちいちゃん」の絵日記の魅力と歴史的価値  

3 「子どもの権利条約」の光をあてて考える 

  子どもの声が届かない

  子どもの権利条約の中の「意見表明権」と「表現の自由」

  国連が勧告したこと

  幼児のつぶやきから浮かびあがる〈新しい子ども観〉 

4 子どもの〈思い〉と〈表現〉をつなぐ

  子どもの権利を侵す添削指導がある

  子どもの〈思い〉を受けとめるということ

  「語る」ことを徹底して保障する―〈対話〉こそ

  綴方教育の復権・深化を―学力中心のテスト主義を超えて

補遺 「子ども時代の豊かさとは何か」を教えてくれる 貴重な〝遺産〟

   湯川千恵子(絵と文)『おてんばちいちゃんの夏休み―こども土佐絵日記―』の解説 

 5 心に残る学生たちのレポート

① なぜ、私は授業中の私語をやめられなかったのか(田中マサキ)

②「ひまな時間」を問い直す(小林泉)

③ 大好きだった両親が離婚して―僕を変えたあの出来事(川井秀樹)

④ アクロスティック(折り句式言葉あそび)   

 

おわりに 

A5判 64ページ 頒価500円

 

 

送料5冊未満200円、5冊以上無料(他の書籍との組み合わせでもOK)